大島康彰先生@宮代キャンパス (機械工学科)を訪問

Fab(ファブ)・Fablab(ファブラボ・wikipedia)と言われる、ものづくりの新しいムーブメントが起こっています。3Dプリンターの進化がその代表的な例とも言えます。

宮代キャンパス(東武動物公園駅/埼玉県宮代町)、大島康彰先生の研究室を訪問しました。

ものづくりを進めるために、『あるとちょっと便利な手作り工作機械たち』を拝見し、とても面白い経験をしてきました。

まさにFabの概念の実現例だと思いましたので、ご紹介します。

写真の、巨大製図用ドラフターの様な装置は、スチレンボードを切断するためのカッター台です。

大学で展示パネルを作るときのスチレンボードのカットに苦労しているのをみて、一肌脱いだとの事。『スチレンボードをズバッと斬るために便利な装置がなかなか無く、専門の機械を買うと数百万してしまう、しかしこのカッター台は廃品の組み合わせで数千円で完成した』との事です。

カッターを取り付けて滑らせるためのレールは、『既存品だとグラグラしてしまい使い物にならなかった』ので、建築用のサッシのレールを張り合わせて作成。カッターのジョイント器具も市販の製品とのジョイントを3Dプリンターで出力し自作されたとの事。

『3Dプリンターの価格破壊で欲しい部品が簡単に出力でき、アイディアを形にするのにとても役立っている』とお話しされていました。

こちらは、サブロク版の大きな木材を切断するための自作電動カッター。巨大な装置ですが、骨組みは建築足場用のパイプを利用し、製作費は数万円程度との事。しかしながら精度は抜群で、2m近い木材を、誤差1mm未満で切断できるそうです。

 

全く逆のアイディアとして、『車に積み込んで持ち運び、現場で使えるハンディ版カッター』のアイディアもあり、現在、設計中との事。

 

こちらは、小学生低学年向けの夏休み工作教室のためにデザインした、卓上ミニライト。

100円ショップのライトに、自分たちで傘をデザイン、ボール紙を工作してカスタマイズさせる、ものづくり体験コースの為の教材です。

全く同じ材料も、料理の仕方で様々な製品に顔を変えます。

こちらは500mlのペットボトルホルダー。

外の材質はボール紙ですが、中にゴム素材を仕込んでいるので冷たさも長持ちし、ボール紙がふやけることもありません。

こちらは、子供向けに、怪我をしないように旋盤の構造を理解してもらうための、発泡スチロールカッター。電熱線を利用して、発泡スチロールを溶かしながら切ることで、刃物を利用せずに子供が旋盤の仕組みを理解することが出来ます。

ちょっとした発泡スチロールの部品作りにも応用しているとの事。

 

こうした機械は、学生のアイディアや工夫も取り上げながら、学生の卒業研究の一環としても活用しているそうです。

Fabの概念はいろいろありますが、

これまでの大量生産の社会に対し、いわゆる『普通の人』が今まで使いこなせなかった機械を使え、アイディアを形にできる様な社会がイメージされると思います。

大島先生がデザインした、『買うと高いけれど、工夫次第で自作出来、あるとちょっと便利な機械達』は、こうしたFabの概念を具現化する、とても素晴らしい例だと感心しました。

また、自作の機械たちを説明する時の、大島先生の目の輝きがとても印象的でした。

 

大島先生は今、ヘルニアの小型犬向けの車いすを設計開発し、販売を進められているとの事。

製品を作りだすことは道のりの50%にすぎず、それをどうやって世に広めていくかという残り50%の重要性を、改めて肌で感じる毎日です』と仰っていました。

大島先生の課題意識は、まさにMOTの課題意識そのものです。

いつかMOTチームと大島ゼミのジョイントで、社会に対する働きかけが出来ればと、強く感じました。