19期生有志の皆さんが、卒業旅行を兼ね、一泊二日の旅程で企業訪問に出かけられました。
訪問先は、京都府宇治市のHILLTOP株式会社さんです。
同社は製造DXを実現する「デジタルものづくり企業」です。主にアルミの切削加工を行い、特注品の多品種少量生産で様々な業界のニーズに対応しています。また近年では部品加工事業のみならず、プロダクトの設計からデザイン・表面処理・組立まで、プロジェクトのトータルサポートを行う装置開発事業や、HILLTOPのデジタルものづくりのノウハウをサービス化するソフトウェア開発事業まで事業領域を広げている、イノベーティブな企業です。
参加メンバー各位は、同社の『イノベーティブ』の実態に触れ、それぞれの立場における新たな『気づき』が得られたようです。
小井川先生の授業です。
この科目では、イノベーションを体系的に学ぶことにより、如何にして中小企業が機会を掴んで、イノベーションを起こしていくのか、また、「イノベーション」を実現化し、如何にして「成長」に結び付けていくのかを学修していきます。
その中で、イノベーションを成し遂げた事例的に、HILLTOP社が紹介されました。
そして同社には工場見学の受付窓口があります。
そこで動いたのが、19期生のなかでも屈指の行動力を持つ丹谷さんです。
テキパキと先方のご担当と話をつけてくださいました。
2023年7月の段階で、2024年3月後半のスケジュールを組んで、担当教員の小井川先生はじめ19期生の皆さんにお声がけ頂いたのでした。
やることが早い!サスガ元ラガーマン!見事な突破力です!
ということで、しばし本件は忘れ日々の授業や課題に追われ忙しく過ごす19期院生各位。
:
:
そうこうしているうちに、無事特定課題研究もまとまり、学位記授与式も滞りなく済ませ。
毎度ながら思うけど、NIT MOTの学びは1年で修了なのでかなりハードです。
19期生の皆さま、本当にお疲れ様でした。
そして最初のお声がけから約8か月後、途切れぬモチベーションで本件の詳細を先方と調整しつつまとめてくれた丹谷さんのご尽力のもと、めでたく工場見学当日を迎えました。
すいません、マーケティング部長、集合に遅れました!
(お気に入りポッドキャスト聞き入って乗換駅通過!)
と、詫びから入る体たらく。。皆さまゴメンナサイ!
すると今回のキーパーソンな丹谷さんから『実は自分も。。』と、笑激なカミングアウトがありまして。
なんと新幹線に先方への手土産と、ついでにご自身のお着替えも置忘れとのことで。。
いやいや、皆さまやはりまだまだお疲れのご様子で。
さてさて、そんなこんなであたふた?と、HILLTOP株式会社様、社屋に到着です。ショッキングピンクの外壁が印象的な、モダンな社屋兼工場です。
第一印象は、『ホントに製造業?』でした。
早速、先方のご担当、遠藤様にご案内頂きました。
お世話になります。
この度は、諸事お取り計らいくださいまして、まことにありがとうございます。
さて、HILLTOP社様ですが、『知る人ぞ知る、超優良企業』です。
詳しくは以下、本件の課題図書を、是非ご参照下さい。
「非常識な経営手法」で、売上、社員数、取引社数すべて右肩上がり!
とのことです。なるほど。。
さて、どんなイノベーションをどのようにして実現されたのか?
期待度は高まります!
同社におけるイノベーションの担い手、というか実際にイノベーション起こした当事者である山本 昌作 様に直接お話をお聞かせいただきました。
まず初めに、下請け金属加工業における『量産』に疑問を持った、いや『否定』された点が大きいといえそうです。
決められたものを規定通りただただ同じようにたくさんたくさん造る。
生産機械・設備は使用するもののそれを操作する人間は『頭を空にして』同じものをずっとずっと作り続ける。
そして、値下げ交渉が毎年必ず来る。
あたかも『人が機械に使われているような』チャップリンの『モダンタイムズ』を引き合いに出しておられました。
こうした状況に疑問を持ち、そして『否定』するにいたったと。
人は人にしかできないことをやるべきで、機械に使われるようであってはならない。そうした、強烈な『意思』が感じられるエピソードを多々お聞かせいただきました。『人を大事にする、尊重する』それも山本相談役の基本ポリシーであると感じました。
ただ『否定』するからには、別の食い扶持が必要になるわけで、山本相談役は『単品・試作』に目を付けられ個人の創意工夫が活かせる仕事を増やしていかれました。
営業や技術的な難しさ等はお察ししますが、その方向性で事業改革、イノベーションを興されます。言ってしまえば、機械加工のDXなのですが、人と機械による金属加工を工作機械による自動化に置き換えてしまう。そしてその機械に指示を出すプログラミングを人の創意工夫の具現化の手段とする。
概ね、そういった構想なのですが詳細は同社のノウハウなので推して知るべしとしておきます。
同社の『人を尊重し大切にする』姿勢がよく表れている場所。
窓エリアが広く、明るくPopな色調です。
午後の早い時間帯だったので無人でしたが、コミュニケーションがとりやすそうな雰囲気が感じられ、居心地がよさそうでした。
ご案内の遠藤様によれば、パーティーやコンサートなどのイベントも行われるとのことで、とても素敵な雰囲気でした。
そして、工場内をご案内いただきました。
写真などでご紹介できる内容は限られますが、どの部署のご担当も、とても気さくで話しやすいコミュニケーション能力の高い方ばかりなのが印象的でした。人を大事にするから人がよく育ち、それが組織としてのまとまりを生み、組織としての総合力を高めるという結果につながっているように感じられました。
同社の強みは、個々人の能力の高さであることは間違いないのですが、それを生み出すのは『あらたななにか』に挑戦する意思で、それがあるからこそ、 試作・単品モノの請負に特化した事業が成り立つわけです。だとすると、おそらく少なからず『失敗』もあるに違いなく、その場合も『失敗しても非難・否定されない社風・企業文化』があるはずです。
営業も開発も製造も品保も、そして経営陣も共有している組織としての価値観。
『人を尊重し、人を育て、常に新しい何かに挑戦し続ける』
社員同士が笑顔で語り合うことのできる大切な場を通じて『新しい価値』を常に世の中に発信し続ける。
そして、その価値の源泉は『磨き抜かれた技術』と、その価値を具現化する独自に構築した機器・設備類です。
ある意味、MOT(技術経営)の理想のカタチがそこに在りました。
お見事です!
ご参加の皆さま、お疲れ様でした!
そして、HILLTOP社 ご担当の遠藤様、大変お世話になりました!
ありがとうございました!