日本工業大学(工学部・MOT)の金融機関職員向け研修が日刊工業新聞・日本経済新聞等で紹介される

 日本工大で本年度から取り組んでいる『金融機関向けモノづくり研修プログラム』が、日刊工業新聞・日本経済新聞等に紹介されました。

 金融機関の職員、特に取引先企業と直接触れ合う支店営業職員の方々は文系出身が大半です。そういった方々に、製造業の現場の考え方や、機械の名称・用途・活用方法などを教えることで、金融機関の製造業に対する理解を深めていただき、ひいては製造業への投融資の活性化、地域活性化に繋げていきたいというプロジェクトです。

 趣旨に賛同いただいた埼玉縣信用金庫・川口信用金庫の皆様に参加いただき、10/11・18の2回に研修を実施しています。


 午前中は座学として、機械工学科の竹内教授・古閑教授から、『工学部の視点での成長する中小製造業の見つけ方』や、『ものづくり現場で活用される機械の種類と加工法』について講義を頂きました。

 ここで、基本的な機械の名称・利用用途、様々な加工方法や生産方法について概要を理解します。


 午後には、座学で学んだ機械を実際に見学し、名前・名称・実際の動作等を学習します。

 機械実工学教育センターの先生方にご協力いただき、旋盤・フライス盤・ターニング・マシニングセンタ等の工作機械の見学を行いました。

 


 大量生産を支えるプレス金型やプラスチック射出成形等の生産機械についても、機械工学科の研究室の協力のもと、実機見学を行いました。

 5軸加工機等、今後の製造現場のトレンドとして、「設備投資需要が活発な」機械の見学も行い、設備導入による加工方法の変化や参入できる産業・製品分野について理解していただきました。


 見学終了後は、MOTの清水先生より、技術経営面から製造業の課題理解にアプローチする方法について講義頂きました。

 『中小製造業への提案に向けて、その変化と課題の理解』というテーマで、日本工大MOTの卒業生企業の事例などを紹介しながら、『製造業が何を課題として取り組んでいるか、またそれに金融機関がどのように支援できるか』を理解していただきました。


 締めくくりとして、参加された金融機関職員の方々にグループディスカッションを行っていただき、1日間の研修での気づきや、今後の金融機関から製造業への提案などについて発表していただきました。

 参加した方々からは、

  • 『機械や加工工程の知識を得ることができたのは貴重だった。こうした知識は経営者との対話や課題のヒアリングに重要であり、取引先の事業性評価にも繋がるだろう』
  • 『今までは、どの様な製品を作っているかに注目していたが、今後は設備や加工工程にも目を配り深い理解をしたい。これまでは”何を作るか”を対話の糸口にしていたが、今後は機械や設備などを切り口とした対話も心がけたい』
  • 『取引先同士のビジネスマッチング等に関しても、どのような機械を持ちどのような加工ができるかを知ることで、お互いに補完しあえるような連携提案が出来ると感じた』
  • 『大学での実践的な研修は珍しく、充実した経験だった。今後は取引先へのセミナー等、金融機関職員と取引先が一緒に参加できるような研修を大学に期待したい』

といった、積極的なコメントが出され、手ごたえを感じる研修となりました。

 MOTには製造業の経営者や現場で活躍される仲間が多数います。そういった仲間達と飲むと『あの機械、導入した?』といった情報交換や、今後の事業展開などについて熱く語り合う場面に多く出会います。

 そういった、エネルギーにあふれた製造現場と、それを資金面で支える金融機関職員が相互理解出来る場を作り、まだまだ伸びしろのある日本の製造業の活性化に繋げたいと感じる一日でした。